薬剤師の悩み

調剤過誤が起きてしまったら 対応と予防策の見直し

あってはならないことですが、人間のやることですから、ミスは起こり得ます。
ただ、薬剤師のミスは人の命にもかかわる重大な結果を招くこともあります。ですから、ミスを防ぐための工夫を厳重にしておかなければなりません。

患者さんにお薬をお渡しするまでに、何度も確認するのは当たり前のこと。
その他、ミスが発生しないように、どのような取り組みが行われているのか確認してみます。

調剤過誤とは

処方箋には間違いがないという前提のもとに、薬局業務で発生する医薬品交付に関わるミスは、大きく下記の3つにわけられます。

1 調剤事故

2 調剤過誤

3 インシデント(ヒヤリ・ハット事例)

調剤事故とは

医療事故の一類型。調剤に関連して、患者に健康被害が発生したもの。薬剤師の過失の有無を問わない。

調剤過誤とは

調剤事故の中で、薬剤師の過失により起こったもの。調剤の間違いだけでなく、薬剤師の説明不足や指導内容の間違い等により健康被害が発生した場合も、
「薬剤師に過失がある」と考えられ、「調剤過誤」となる。

インシデント事例(ヒヤリ・ハット事例)

患者に健康被害が発生することはなかったが、“ヒヤリ”としたり、“ハッ”
とした出来事。患者への薬剤交付前か交付後か、患者が服用に至る前か後かは
問わない。

調剤過誤発生時にすること

調剤過誤発生時の対応方法については、

『薬局・薬剤師のための調剤行為に起因する問題・辞退が発生した際の対応マニュアル』

として、日本薬剤師会からマニュアルが作られています。
各医療機関や 大手薬局チェーンなどでも、独自のマニュアルが作られているようです。

1 患者さんから第一報があった際にすること

① 丁寧なお詫び(起こってしまったこと、不安にさせてしまったことへのお詫び)

② 実際に服用したかどうかの確認

③ 服用していた場合 → 患者さんの体調確認(健康被害が起きていないかどうかの確認)

2 過誤の事実が発覚した際にすること

① 真摯にお詫びをする。

② 薬剤交換などの対応(患者さんに来局してもらうのではなく、薬剤師が患者さんのお宅へ伺うようにすることが望ましい)

③ 関係各所への報告(医療機関、上司への報告)

こういった事態を起こすのは、割合からいえば当然ながら新人や経験の浅い薬剤師のほうが多いのが実情です。

調剤過誤が起こってしまった場合、本人はもちろん反省もし後悔もしているでしょうが、動揺もしています。そういった時に薬局長がしっかりとフォローし、薬局として対応することが肝要です。

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薬局長は、薬局の責任者として、慌てず落ち着いて適格に判断し、指示を出し、自らも行動しなければなりません。

何より患者さんの健康被害への対応が第一となります。

その次に、調剤過誤を起こしてしまった薬剤師の動揺をやわらげ、通常業務に戻れるようサポートしていかなければなりません。

2 調剤過誤を繰り返さないための対策をする

ハインリッヒの法則をもとに調剤過誤防止のための取り組みをしている1例をご紹介します。

ハインリッヒの法則とは

1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背後には300の異常が存在する

これがハインリッヒの法則と呼ばれるものです。

ハインリッヒの法則にしたがって、調剤事故を起こさないように対処するということは、つまり、

29の軽微な事故が起こる前、300の異常が起こっている段階、つまりヒヤリハット事例の段階で、小さなドキッとする体験を見過ごさずに、しっかりと把握し、問題が起こってしまう前に認識して対応しよう、という考えに基づくものです。

インシデントレポートの報告をする態勢を作る

日頃から、結果的に事故につながらなかった事例もインシデントレポートとして報告するような態勢をとっておくことが望ましいあり方です。

日本薬剤師会からも下記のようなインシデントレポート様式が提示されています。

インシデントレポートをスタッフに周知し活用してミスの防止につなげる

提出されてくるインシデントレポートは活用しなければ意味がありません。

このレポートを確認整理することで、薬局内外で起こっている状況や問題点を把握することができます。

インシデントレポートを時系列で確認・記録し、再発防止策がどのように取られたか、その対策によりどのように改善されたかまで記録していくことで、レポートが活かされて行きます。

その内容は、ミーティングでの報告やホワイトボード等への記載などの方法で、スタッフ全員に情報共有することも大切です。

インシデントレポートは薬局の財産

インシデントレポートが多いのは、恥ずべきことではありません。
むしろ、しっかりとした対策を取っている証拠で誇らしいことです。

ですから、「ミスは隠さない、すぐに報告する」という職場の雰囲気を作っておくことが重要です。これには薬局長の力量が関わってきます。

積み重ねられたインシデントレポートは、その薬局の財産ともいえるものです。この積み重ねが患者さんの健康と守るという薬剤師本来の目的を果たせるものとなっていくはずです。

<参考>
『薬局におけるインシデント事例の集計・分析結果 -調剤事故の防止に向けて-』 平成14年4月 日本薬剤師会
http://www.nichiyaku.or.jp/anzen/wp-content/uploads/2010/12/inci_kekka1.pdf#search=%27%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88+%E8%96%AC%27
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