薬学部大学院生ゆきなのブログ

薬学部のカリキュラムについて解説します

薬学部 大学院生 ゆきな
みなさま こんにちは。
私は、某国公立大学薬学部大学院後期(博士課程)1年のゆきなです。

薬学部薬科学科4年を卒業し
薬学部薬科学科大学院前期(修士課程)を修了して、
この4月から 同大学院後期(博士課程)の1年生になりました。

私は、おもに薬学部4年制に所属して、将来は研究職をめざす学生の方々のために、薬学部大学院の様子についてご紹介していこうと思います。

薬学科(6年制) と 薬科学科(4年制)

薬学部は、2005年までは4年制のみでした。4年制の学部を卒業すれば薬剤師国家試験の受験資格が得られたのです。

ところが、2006年から薬剤師免許を取得するためには6年間の就学が必要となり、それとともに

薬学科(6年制)
薬科学科(4年制)

の2つの過程が設けられるようになりました。

薬剤師国家試験の受験資格が得られる 薬学科(6年制)

薬学科は、6年間の就学年数を経て、学士号とともに薬剤師国家試験の受験資格を得ることができます。主に薬剤師をめざす学生が進学します。

学内での実習や、病院や薬局での長期実務実習がカリキュラムに含まれています。
卒業するまでに必要な単位数は およそ 190単位以上。
薬科学科の140単位より 50単位ほども多いのは、専門科目や専門実習科目の単位が多く含まれているためです。

多くの学生が大学院に進学する 薬科学科(4年制)

他の大学学部と同様、4年の就学年数を経て学士号を得ることができる過程です。4年制を終えた学生の大半が、大学院に進んでさらに研究を続け、修士号や博士号を取得します。

製薬企業などのメーカーや、研究所や大学で研究職をめざす学生が多いのが特徴です。

それでは、 薬学科  薬科学科 それぞれの入学から卒業(終了)
までのカリキュラムを以下にまとめてみます

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◆薬学科(6年制)◆

1年生

1~2年生の間に教養科目の単位を取得します。教養科目の講義は、他の学部の学生とともに受講します。自分の興味に応じてさまざまな科目から選ぶことができます。
私も何を取ろうかずいぶん悩みました。どれもおもしろそうで、興味をそそられました。部活の先輩方から、どの科目のどの先生の授業がおもしろくて単位が取りやすいか(!?)などの情報が得られることもあります。

1年次で学ぶ専門科目は次のようなものです。
基礎科目(化学や、物理、数学、英語など)
薬学専門科目(有機化学、生化学、物理化学、分析化学など)
1年生の時の講義日程は毎日1時限目から3時限目、多い日では4時限目までとかなり詰まっていました。これは、大学によって異なっているかもしれません。研究が本格的に始まってからのスケジュールを考えると、これでも時間的にゆとりがあり、部活動やアルバイトに励むこともできて、精神的にものんきに過ごしていたと思います。

2年生

2年次では基礎科目および薬学専門科目の授業を受けます。
さらに2年次からは学生実習が授業に組み込まれます。

薬学部には多くの研究室が存在しています。生物系、化学系、臨床系など研究分野が分かれていて、その各分野ごとに学生実習が行われます。

例えば生物系の学生実習では、実験動物の解剖を、化学系の学生実習では化合物の合成を行ったりするのです。学部生がランダムに分けられ、あらかじめ決められたペアや班で、渡された実習書やその都度の講義に沿って学生実習が進められます。

白衣を初めて着るのもこの頃です。私も、2年生になって白衣の注文をするときには、嬉しくてどきどきしました。どんな白衣を選べばよいのか、カタログを見ながらいろいろ迷いました。でも、けっきょくのところは伝統的に先輩方が注文してきたオーソドックスなもの、周りのみんなが注文するのと同じものを注文しました。

お値段もいいお値段で、なんだかちょっと自分がえらくなったような錯覚を覚えました。今では、アスクルなどで格安の白衣を買うことができるようですね。

同時に、実験用の保護メガネも買いました。実験中に目を保護しておかないとどんなに怖いかという話を先生から聞かされ、こちらもあわてて注文しました。

実験実習を行った後は、実習内容についてのレポートを提出し単位が得られる仕組みになっています。午前中の2時限分講義を受け、週3日は午後から実習という生活でした。午後の実習が早く終わるとは限りません。ときには、遅くまでかかることもあるので覚悟が必要です。

ふり返ってみると、この2年生から始まった実習によって、薬学生生活7年目ともなる今では当たり前になった、実習実験とはどういうものかという感覚になじんでいったのだと思います。2年生の実習体験は、薬学生が白衣を着ているのは当たり前、実験は時間がかかるものというのは当たり前、といった日常に少しずつ慣れることのできるものでした。

3年生

3年次では薬学専門科目(薬理学や薬物動態学、薬物療法学など)の授業および学生実習が行われます。3年次での学生実習では、2年次より応用された学生実習が行われるようになります。

学生実習はおよそ3年次末までに終了します。

そして、3年後期から4年次にかけて研究室に配属され、総合薬学研究を行うようになります。総合薬学研究とはいわゆる卒業研究のことです。配属された研究室で、各自テーマが与えられ、卒業研究が始まるのです。

この年には、所属する研究室を決めなければなりません。研究室選びは悩みますね。研究室の選び方については、また別の記事でアドバイスできればと思っています。

私の大学では優秀な学生20名までは、無条件で自分の希望する研究室を学生側から指名して選ぶことができます。その他の学生は、希望は出せますが、希望した研究室の応募が多く定員オーバーになった場合には、くじ引きとなります。くじに外れると、第二希望以降の研究室の所属になってしまいます。

自分が希望する研究室に入ることができるよう、1年生から必死で勉強したつもりでしたが、同級生はみんな優秀で、私は上位20名に入ることができませんでした。でも、くじに当たり希望した研究室に入ることができてほっと胸をなでおろしました。

4年生

4年次では、前期まではまだ講義形式の授業がありますが、数はぐっと少なくなります。さらに5年次での病院および薬局での実務実習にそなえて、学内での事前実務実習が行われます。

4年生の後期にはパスしなければならない試験が2つあります。

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OSCECBTとです。実技及び知識が一定の基準に達しているかどうかを確認する試験です。これらに合格しないと、5年次での実務実習を受けることはできません。

OSCE(Objective Structured Clinical Examination ; 客観的臨床能力試験)

OSCEは薬学性が実務自習を開始する前に技能及び態度が一定の基準に到達しているかを客観的に評価するための試験であり、いくつかの領域についての実地試験または模擬患者が参画するシミュレーションテストが含まれる。
(薬学共用試験センターホームページより引用1)

CBT(Computer-Based-Testing)

CBTは、薬学性が実務実習を行うために必要な知識、態度が一定の基準に達しているかを、コンピューターを使って客観的に評価することが目的である。
(薬学共用試験センターホームページより引用1)

5年生

晴れてOSCEおよびCBTに合格した学生は、5年次の5月から11月にかけて、各大学によって定められた病院および薬局で各11週間の実習を受けることになります。地域によっては5月から翌年の3月のうちの11週間を2回というところもあります。

実務自習を終えると大学にもどって、配属された研究室で卒業研究を行います。

6年生

6年次には、卒業研究および、薬剤師国家試験のための講義を受けます。

卒業発表および卒業論文の提出に関しては早いところでは夏頃までには終わり、その後薬剤師国家試験に向けてひたすら勉強に励みます。

一般的には卒業発表および卒業論文の提出は9月から12月にかけてです。提出が12月締め切りの研究室では、あわせて国家試験の勉強もしなければならないので、時間のやりくりに苦労しながら必死の毎日になります。

薬剤師国家試験対策の講義としては各大学によってさまざまでしょうが、薬剤師国家試験のための予備校から講師を呼んで、講義を受ける制度を設けている大学が多いと思われます。

薬剤師国家試験は2月の末から3月の初旬の間の土日2日間にかけて行われます。
その後学位記授与式が行われ、晴れて薬学部薬学科卒業となり、社会に巣立っていくのです。6年制では少数ですが、大学院の博士課程に進む学生もいます。

◆薬科学科(4年制)

薬学科のカリキュラムに関しては3年次までの授業日程および実習日程はほぼ同じです。

しかし、薬学科とは必修科目が異なり、薬学科よりも少なくなります。薬学科は実務実習に行くための臨床的な範囲の知識の単位が必要だからです。その分薬科学科は総合薬科学研究(卒業研究)に打ち込める時間が多くなります。

4年次は選択科目を取り終えれば、あとは研究に励むのみ。研究生活は所属した研究室の方針によって異なります。コアタイム制をとっている研究室もあれば、自分で時間管理ができる研究室もあります。1月から2月に卒業発表および卒業論文の提出があり、無事単位が修得できていれば、学士号が得られます。

その間、大学院に進学する場合は4年次に大学院入学試験を受けます。ほとんどの学生が、そのまま同じ大学に進学しますが、大学院から他大学院に進学する学生もいます。稀に4年で卒業し、就職をする学生もいます。

薬学部薬科学科 修士課程(前期)

大学院進学後は修士2年間でさらに研究に没頭することができ、専門的な知識を追求することができます。

修士1年の時は大学院講義(学部時代よりもさらに専門的な授業)が週に3~4コマありました。

2年次の1~2月にかけて、修士論文発表および修士論文の提出があり、学部時代よりもより専門的で的確な研究が求められ苦労しました。

修士号を取得後は、就職する学生もいれば、さらにより知識を深めるために博士課程へと進学する学生もいます。

大学院修士課程を修了しても、薬剤師国家試験の受験資格は得られません。多くは、企業などに就職することになります。企業の研究職に入る学生もいます。

薬学部薬科学科 博士課程(後期)

大学院後期 博士過程に進学して博士号を取得するにはさらに3年間の研究生活が必要となります。

学部4年 → 修士2年 → 博士3年

この道を選択した学生は、薬剤師国家試験の受験資格は得られません。ただし、平成29年度までに薬学部薬科学科に入学した者については、移行措置として薬剤師国家試験の受験資格を得ることが可能となっています。

薬剤師国家試験の受験資格を得るためには、博士課程にて実務実習等を履修し、薬学科卒業者と同等以上の能力が認められなければなりません。条件としては、下記のカリキュラムを受けることが必須となります。就学期間も+1年必要となります。

薬学科の4年次と5年次のカリキュラムに相当

・薬学科の必須単位取得
・事前実務実習を受ける
・OSCE CBT に合格する
・実務実習を履修

要するに薬科学科では、薬剤師国家試験の受験資格を得るためには最短で

学部(4年間)+修士課程(2年間)+博士課程(2年間)

の8年かかるということです。

博士号取得までには、さらに2年間の研究生活が必要となります。

学部(4年間)+修士課程(2年間)+博士課程(4年間)

したがって、博士号を取得し、薬剤師国家試験の受験資格も得たい薬科学科生の場合には、合計で10年間の学生生活が必要になるということなのです。

これらをチャートにすると、下記のようになります。
薬学部カリキュラム チャート
図 薬学部のカリキュラムチャート

まとめ

このように薬学部でも薬学科と薬科学科では、カリキュラムが異なっています。

薬学部では薬のスペシャリストとして働く薬剤師を主に薬学科で育てるいっぽう、薬剤師が将来扱うであろう新しい薬を創出するための研究者を主に薬科学科で育てているのです。

医学の進歩は、医療機器の進歩と薬剤の進歩によって支えられている部分が多いといっても過言ではないと思います。今回の原稿をまとめるにあたって、薬科学科大学院生である私は、医療の進歩の一端を担うことになるのだという自負と責任を持って、より研究に励んでいかなければならないと強く心に誓いました。

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