薬剤師国家試験

薬剤師国家試験合格率のからくり

薬剤師国家試験 合格率 第102回
大学別の薬剤師国家試験の合格者数が毎年発表され、各大学の合格率も知ることができます。ただ、注意しなければならないのは、ここで示される合格率が高い大学に入れば、国家試験に受かりやすいという安易な結びつけをしてはいけないということです。

なぜなら、薬剤師国家試験を受けるにあたっては、いろいろな事情がからんでいるからです。合格率の高い大学に入れば、必ずしも高い確率で薬剤師になることができるのではありません。もともと薬剤師養成より薬学の研究者を養成する学生の募集が多い大学もあります。

大学を選ぶ際には、国家試験合格率の数値だけに惑わされず、卒業後の進路まで考えて選ぶことが重要です。

私立大学には国家試験を受ける前に学内試験があることが多い

私立の薬学部では、合格率を高く見せるために、あらかじめ学内で卒業試験等でふるいにかけ、ある程度の合格率が見込める学生にしか国家試験を受けさせないところが多々あります。これが見せかけの合格率が高くなっているというからくりです。この仕組みをよく理解していないと、この大学に行けば合格率が高いから安心、という間違った大学の選び方をしてしまう危険があります。
薬剤師国家試験 合格率
いっぽう国公立大学には、受験する者を学内でふるいかけるようなことはしません。受験資格を持ち、受けたい学生は誰でも受験することができます。

合格率は浪人生と現役生を総合した数値であらわされる

厚生労働省医薬食品局から合格率として発表される数値には
出願者数
受験者数
合格者数

の3つが記載されていますが、浪人生・現役生を分けてはいません。ですから、合格者のうち現役生がどのくらいいるのか、まったくわかりません。多くのサイトで紹介されているのも、こちらの資料から取られているものが多いようです。

国公立大学の現役合格率を数値化すれば、かなり高い数値になります。例として、静岡県立大学の合格率を見てみましょう。現役合格者率はかなり高く、下記のようになります。

第101回薬剤師国家試験(平成28年3月実施)結果

合格率
新卒 93.83% (合格者数76人)
新卒・既卒 計 84.75% (合格者数100人)

 

第100回薬剤師国家試験(平成27年3月実施)結果

合格率
新卒 83.13% (合格者数69人)
新卒・既卒 計 74.58% (合格者数88人)

この場合、合格率を下げているのは浪人生の受験者で、受からない浪人生は何度受けてもなかなか受からないという厳しい現実を示してもいます。

薬剤師をめざす方のほとんどは国家試験には現役合格したいと考えていることと思います。ですから、各大学の資料をつぶさに調べて、見かけの合格率に惑わされず、合格率の実態を知ることがたいせつです。

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国公立大学では国家試験対策をほとんどしてくれない

一般的に、国公立大学では、ほとんど国家試験の受験勉強のお世話をしてくれません。自分たちでがんばるしかありません。それどころが、受験勉強に時間を割きたいのに、研究研究に追われて時間がないのが実情。そうした中で、暇をみつけては能率よく勉強をしていかなければならないのです。

多くの教員が、大学で勉強しているからには、薬学の研究をすることが重要、と考えているので、しっかり研究をしなければならない雰囲気となっています。中には、国公立の薬学部で学ぶのなら、薬剤師の資格をとらなくても研究をきわめて研究者になってほしいと考えている教授もいます。

その傾向はトップの旧帝大の大学ほど強く現れています。
東京大学
では、そもそも薬剤師国家試験を受験すらしない学生のほうが多いのです。
薬剤師国家試験 合格率 東京大学
こうした優秀な大学では、真剣に受験をすればおそらく合格率はかなり高くなるはずです。ところが、目指している道が異なるため、ランキング上位にはならないというわけです。

それに対して、私立では国公立の学生が卒業研究に追われる中、研究にほとんど時間を割かず、5年生6年生と2年以上もかけて、みっちりと国家試験対策の勉強をしています。こうした違いは、就職後に薬剤師の実力として大きな差となり現れます。国家試験に通るだけの勉強をしたものと、薬学について深く学んだ者の差となります。

国公立でも卒業後に進む薬学の道は大学により異なる

国公立や私立でも慶応大学の薬学部などでは、薬剤師となることを目標とした6年制と、研究者を育てることを目標とした4年制とがあります。

大学により異なりますが、3年生の段階で、6年生の薬学科に進み薬剤師免許を取得することをめざすか、研究者をめざして4年制にすすむかの選択をしなければなりません。人気があるのは6年生で、成績上位の者から6年生の枠が埋まっていきます。もちろん、優秀な学生の中にも研究者の道を強く志し自ら4年制を選択する学生もいます。研究者をめざすのなら4年制のほうが良いからです。

けれども、4年制に進んで薬剤師免許を取得するためには長い年月が必要となります。また、大学院に2回入学しなければならず、その都度入学金が発生するのでお金がかかります。そのため、6年制に行きたいが成績がふるわず、やむなく4年制に進学する学生も出てきます。したがって、平均すると優秀な学生の多くが6年制に所属しているということになります。

自然な流れとして国公立大学の国家試験合格率は、大学の中でも優秀な学生の多くが受験しているという構造になっています。

大学の国家試験対策は予備校に依頼することが多い

では、5年生から多大な時間をかけて受験対策をしてくれる大学では、受験指導スキルが高いということでしょうか。必ずしも大学そのものがスキルを持っているとは限りません。

というのは、実際の指導や講義などは受験のプロである予備校に依頼していることが多いからです。

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